2010年12月07日

HDRによる久能山東照宮(2) 境内と神廟

HDRによる久能山東照宮(2) 境内と神廟
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(HDRによる久能山東照宮(1)よりつづく)

久能山東照宮は、客観的に見れば価値の高い「静岡の宝」だと思う
創建当時からの建物が多く残り
定期的に施されている修理・塗り直しにより、その保存度は第一級だと思う
特に現在は修理がほぼ終わった直後のため
最も美しい久能山東照宮を見ることが出来る

私としては、蒼古とした味わいのある奈良の寺院建築や
おもに京都、静岡にも若干ある禅寺の雰囲気により惹かれるが
一種の「バロック」としての雰囲気のある久能山東照宮の諸建築も
率直に楽しみたいと思う


(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

楼門をくぐり境内に入ると華やかな色彩の世界となる
右手には、左手には五重塔跡
主要建築物の中で唯一「残らなかった」五重塔の喪失は
久能山東照宮としては痛恨事だったのではないだろうか
廃仏毀釈の時代に「仏教的要素が強すぎる」との理由で解体されてしまったという
他の仏教的建築物だった鐘楼は「鼓楼」に、本地堂という仏堂は「日枝神社」に変えることによって廃棄を免れた
美しかったといわれる五重塔がもし残っていれば
境内の眺めはより見ごたえのある華やかなものになっただろう




(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)




(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

久能山東照宮の境内は狭いが密度の濃い空間となっている
上の画像左手の「神饌所」は、今回重要文化財に追加指定された

「唐門」の前にある石階段は普段は閉鎖されている
確か正月にはこの階段から唐門を通って本殿を参拝できたように思う

上の画像と同じ範囲で普通にパノラマ写真を撮ると
画像中心より右手の神楽殿辺りからは影になって黒くつぶれてしまう
以前同じような構図のパノラマ写真を撮ったが
鼓楼から右側は黒くつぶれて写らないので撮らなかった

今回、ハイダイナミックレンジ加工と組み合わせる事によって
今まで写らなかった部分もバランスよく取り入れる事が出来る
発色に多少人工的な部分はあるが、その欠点を補って余りあるものがある

神楽殿の脇をとおり、日枝神社前の石階段を登る



(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

日枝神社前から境内を眺める
ここからの眺めが一番密度が濃い
一枚に広がった画像からは感じにくいが
この画像の左右は290度の広がりを持つ
もし五重塔が現存していれば
多分神楽殿の屋根付近からその姿を現していたに違いない
ここから見える建物は全て朱を基調とした極彩色
それらが周りの木々の緑の中で輝いている



(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)









(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

今回国宝指定となった御社殿
拝殿・石の間・本殿が縦につながった「権現造」の最も古い作例

修理完成後まだまもない御社殿は極彩色に光り輝いている
写真の対象にはうってつけだろうし、個々の彫刻を追って行っても楽しいだろう

私はこの御社殿が置かれている「空間」を切り取る事に興味がある
どんな広角レンズをもってしても、御社殿を画角一杯に取り入れるのがせいぜいだろう
しかし、御社殿は狭いながらも塀に囲まれた中にある
その塀に囲まれた空間の中に御社殿をゆとりを持って配置してみたい

パノラマ写真はそういう目的に対しての自分なりの答案だと思う




(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

御社殿西側を通り神廟へ行く

御社殿西側はあまり陽が当たらないので、少しくらい雰囲気が有る
この雰囲気が、御社殿の華やかさから神廟の「杜」の雰囲気への変化の橋渡しとなっている




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廟門を過ぎると、また森厳な「杜」の世界となる
墓所という雰囲気に合い似つかわしい

この「神廟」には家康公が埋葬されているとも されていない(日光に改葬)とも言われる
真偽のほどは分からないが、久能山東照宮では此処が埋葬地であるとしている


久能山東照宮の御社殿は国宝に指定された(正式な指定は12月24日)
指定されてまだ僅かな時に、次のような「空想」をするのも何なのだが
久能山東照宮を「世界遺産」に登録することの可能性を考えてみても面白いかもしれない

もちろん久能山東照宮だけでの登録は無理だが
既に登録されている日光東照宮と抱き合わせて
「日本の東照宮史跡」のような形で他の著名な東照宮と共に
指定範囲拡大の形で検討すれば可能性があるのではないかと思う
日光東照宮の先駆でもあり
石段の参道から境内・神廟までの保存度と価値は第一級なのだから
あながち無理な話でもないのでは、と想像する

もっとも、「何でもかんでも世界遺産」というようなことは考えたく無いし
「世界遺産にして何をしたいのか」という問題もある
あくまでも「技術的には可能ではないだろうか」というぐらいに考えている

それよりも、このようなことを考えても良いような史跡が
静岡市内に有るという事をもう一度心に留めておきたいと思う


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Posted by 旅人 at 23:28│Comments(0)駿河区
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