2009年02月16日

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

角館の宿を10時ごろに出る
外は相変わらずの雨
午前中に街並みを散策するつもりだったが
気が変わり、横手へ直行することにする

六郷の竹打ち

横手に着いたのは10時50分ごろ
雪が無いわけではないが
路面は露出している
前に横手を訪れたのは8年前の同じ日
その時は、屋根から雪を降ろしている人を見た

もう、雪の少なさを語るのは止めよう

宿に荷物を置いて六郷へ行くバス停に向かう
角館の散策を止めた理由は
横手からバスで35分程の所にある
六郷(美郷町)のことが気になったから

この町にも冬の行事がある
観光案内には
”六郷のカマクラ”、”竹打ち”として紹介されている
”竹打ち”のことは承知していたが
それとともに行われる行事、しきたりには考えが及ばなかった

六郷の竹打ち

六郷上町のバス停で降りる
街の中には五色の吹流しの様な物が
至る所に掲げられている
”天筆”というのだそうだ

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

また、街の中には雪の祠と雪室を見かける
雪室は”鳥追い小屋”という
横手の”かまくら”とは作りが違う

六郷の竹打ち

横手のドーム型のものに対して
鳥追い小屋は方形の雪の壁の天井に
簾をかけている

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

雪室の奥には御札が祭られているのだが
その御札はそのものズバリ「鎌倉大明神」
(横手のかまくらでは「水神様」が祭られている)

この鳥追い小屋の構造を見て思い出したのが
ドイツの建築家ブルーノ・タウトの記述
彼は日本滞在中に横手のかまくらを見ているが
そのかまくらの構造を
丸い雪の壁の上に簾を乗せてある、という風に記録している
恐らくタウトが見たかまくらは
円形と方形の違いはあれ
この六郷の物に近かったのではないだろうか
(手元に本がないのではっきりした記憶ではないが
タウトが見たかまくらは
その前年に雪の天井が落ちる事故があったため
警察の指導により簾の天井に改められた、と
記述されていたように覚えている)
(2月19日追記
「タウトが見たかまくらは円形」と書いたが
これは私の勘違いだったようで
タウトの描いた絵を見ると方形となっている様だ
また、「その前年に雪の天井が落ちる事故があったため」
という記事の記述も間違い
正しい記述は
「雪(の天井)では崩れ落ちる心配があるので、今年は警察で禁じたのである。」
となっている)

「”六郷のカマクラ行事”は豊作、安全繁栄を祈る”年ごい”と凶作や不幸を除去する”悪魔払い”、そしてその年の吉凶を占う”年占い”の三者が一体となった行事であり、観光化の進む東北地方のカマクラの中でも最も小正月本来の姿を保ち、住民の伝承意欲も高いことから昭和57年1月14日に国の重要無形民俗文化財として指定されております。」
(美郷町の観光パンフレットより転載)


六郷の竹打ち

六郷の街には
湧水が多く湧き出ている

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

また、必ずしも整備された街並み、家屋ではないが
古く、重厚な民家が時折見かけられる
(この街の街並みは妻入りが優勢のようだ)


六郷には昼過ぎに入ったが
”カマクラ”のメイン行事”竹打ち”は20時過ぎから始まる
雨の中、約7時間も待つのは無理があるように思えた 
それに、雨の中で”竹うち”を見る気にもなれない
そこで宿のある横手に引き返した


横手に着いた時にも雨は強く降っていた

ところが、である
宿に入って、暫く休息していると
雨は雪に変わっていた
時間は14時ごろ、大粒の雪
そして、およそ2時間で外は雪景色に変わっていた
雪国を満喫するのには、手ごろな雪の積りかた

この雪で、六郷に引き返す気になった
やはりこの行事は雪の中で見たかった
(実は少々問題もあった
竹打ちを見た後の横手への帰りの足が
かなり限定されていた
六郷から横手に行くバスは無く
六郷から最寄のJR駅までタクシーで行き
其処から夜の時間帯は1時間に1本の普通列車で
横手に戻るより他はない
列車との接続によっては
かなり遅い帰りになる)

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち会場に着いたのは18時半
竹打ち会場(カマクラ畑)の周りには
竹打ちに使う竹と
昼間は街の中にたなびいていた天筆が立てられていた

六郷の竹打ち

会場の中央には、お飾りなどが集められた
小高い山が二つ

前述のブルーノ・タウトも
横手のかまくらを見たその足で
六郷の竹打ちを見ている
その記述のことを覚えていたため
私も六郷の竹打ちのことを承知していた


竹打ちは、”その年の吉凶を占う「年占い」”にあたるようだ
北軍が勝てば豊作
南軍が勝てば米の値段が上がる、とのこと

六郷の竹打ち

時々、法螺貝に似た響きの音が聴こえる
木貝というラッパ

六郷の竹打ち

会場では参加者が竹を打ち合わせて気勢を上げている
会場の中の異様な熱気

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

六郷の竹打ち

そして第一回戦
激しく竹が打ち合わされる
本来は竹と竹とを打ち合わさなければならないが
竹で人を打っている場面も見受けられる
会場には再三にわたり注意のアナウンス
竹の先が割れる
最前列にいた私にも時々竹が当たってくる、危ない
中には掴み合いの喧嘩
祭りに喧嘩は付き物か

竹打ちは、まず2回戦まで行われる

六郷の竹打ち

2回戦が終わると
天筆を持った人々が中央に集まる

六郷の竹打ち

お飾りの山に火が点けられると
人々は願い事など書かれた「天筆」をその炎で焼く
「天筆焼き」といい、竹打ちとともに一連の行事のクライマックス
この時は、会場内の全ての人が、今年一年の幸福を願い
心が一つになる

六郷の竹打ち

そして、炎の燃え盛る中 第三回戦

今年の判定は「南軍の優勢」
今年は米の値段が上がるらしい


帰りのタクシーの中での、運転手さんの話では
「今はヘルメットとかをかぶっているから大した怪我はないが
昔はほっかぶりをしただけでやった」
「竹は1年物の若竹を使う
2年、3年と経ったものは竹が割れないから
かえって危ない」


最寄の駅は飯詰駅という、9時に着いた
列車は20分ほど前に出ており、次は40分後
そう思ったときに、駅舎内でアナウンス
「本日は列車が大変遅れております」
20分前に出たはずの列車は39分の遅れ
結局20分ほどの待ち合わせで列車に乗った

まったく知らなかったのだが
この日、私が横手に着いた直後に
落雷で信号トラブルがおき
秋田・横手間の奥羽本線と秋田新幹線は
終日混乱していたらしい
知らぬが仏とはこのことだろうか

雪は相変わらず降り続いていた




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Posted by 旅人 at 11:50│Comments(0)秋田県
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