2014年08月15日

「愛国心」について

今年もやってきた8月15日 
この日に戦争のこと、平和のことなどを書くのはあざとい気がする 
しかし、今の時代は8月に集中してこれらの事について書かれる 

一寸だけ、普段考えていたことを書いてみたい 


「愛国心」
この言葉に対しての受け取り方は様々だと思う 
この言葉を大切に思う人もいれば、嫌悪感を抱く人もいる 

では私は? 

意外にも、私はこの言葉に対して肯定的だ 

私の住む国土に対する愛着、静岡の土地や街に対しての愛着 
それは「愛」と言うよりは「愛憎」に近いものもあるかもしれないのだが 
それでも愛着の部分の強さは否定できない 

だから私も、多くの人が持っている国土や郷土への愛着を持っている 

しかしながら「愛国心」という言葉にきな臭い思いを感じるのはなぜだろう 

「自分の国のことを悪く言うな」
「自分の国の良いところをもっと強調しろ」
これらの事を「愛国心」と絡めて主張する人が多くいる 
いや、「愛国心」という言葉のもとに「恫喝」されているような感さえある 
つまり反対意見を強く抑制されているように思えるのだ 

「自分の国のことを悪く言うな、このことの何が悪い?」


親が自分の子供を深く愛する 
これは当然のことだ 
自分の子供が悪いことをしたとき 
親は子供を叱る 
それは子供に対して愛が無いから叱ることが出来るのだ、という考えが間違いであることは 
すぐに理解していただけるだろう  
親は深く子供を愛しているからこそ 
子供の将来を考えて今叱っているのだ 

しかし、子供が悪いことをしたときに 
叱らないばかりか、「相手が悪い」と言い出す親がいる
よそのいたずらの子を叱ると 
「怖いオジサンが居るから静かにしようね」と言う親を見かける 
(最近では学校の先生までこの論理を使う 
 静かにするべき場所で騒いでいた小学生の集団が居たため引率の先生に注意したら 
 「うるさいオジサンが居るから」と小学生たちに言ってその場から離れていったという体験を 
 私は実際にしている ) 
このような態度を「子供を愛している」と言うだろうか 
正しくは「溺愛」と言うべきだろう 


「自分の国のことを悪く言うな、このことの何が悪い?」

もうお分かりいただけるだろう 
この態度は「愛国心」ではなくて「溺愛国心」なのだ 

もしこの国の過去に悪いところがあったとしたら 
その事を深く検証して過ちを再び繰り返さない 
その事は国に対しての深い愛があるからこそなのだ 

前の戦争についての善悪をいろいろと主張することがあるだろう 
しかし、そもそも自分の国の外に出て領土権益を武力をもって取得しようとしたことが間違いなのだ 
この「間違った国の行為」に協力しないのは「愛国心が無いからだ」と一刀両断にされてはたまらない 
だが、実際にはこの「愛国心」という言葉によって庶民は恫喝されていたように思う 

今の情勢では軍備の増強は不可欠、という主張もあるだろうが 
私はむしろ国際社会への発言力、主張する能力を強めることの方が大切だと思う 
強力な軍備を持つよりも国際社会の中で味方を多く作る方がより国の安全性を高めることが出来る 
この能力は、むしろ軍事的に弱い、あるいは全くない国が持つべきことなのだ 


いずれにせよ、国の過去に対して正確な目を向けることは大切な事なのだ

“過去に眼を閉ざす者は、未来に対してもやはり盲目となる”
“自由民主主義体制において必要な時期に立ち上がるなら、
 後で独裁者に脅える必要はない、
 つまり自由民主主義擁護には法と裁判所だけでは不足で市民的勇気も必要”
(どちらもリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーの発言)

国や行政が常に正しいことをするとは限らない 
いや、正しくないことをすることが多いのかもしれない 
その際に正しく「愛国心」を燃やすことは極めて大切なのだろうと思う 


(なお「自分の国のことを悪く言うな」と言う態度は 
 何も日本だけではない、万国に起こっていることなのだと言うことも 
 念のために書き添えておこう 
 今私がおそれているのは「ナショナリズム」の勃興なのだ 
 自分の国に特有の問題であれば、むしろ解決はたやすいかもしれない )


      



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Posted by 旅人 at 12:20│Comments(0)雑記
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