2009年02月14日

ニセコ 有島記念館

ニセコ 有島記念館

小樽からニセコ行き臨時特急”ニセコスキーエクスプレス2号”に乗る

ニセコ 有島記念館

昔、函館本線小樽回りの札幌・函館間には「北海」という特急が走っていたが
室蘭・千歳回りの「北斗」に比べて時間がかり、沿線人口も少ないため
かなり以前に廃止されてしまった
今、小樽回りの定期特急は走っていない
”ニセコスキーエクスプレス2号”も季節運行の列車として
ニセコまでの走行となっている

ニセコ 有島記念館

ニセコ 有島記念館

8時46分の乗車
途中、余市付近のりんご畑
倶知安を過ぎてすぐの羊蹄山を車窓に見る
この付近は北海道有数の豪雪地帯だそうだ

ニセコ 有島記念館

1時間10分ほどの乗車で10時前にニセコ駅に着く
次の長万部行き普通列車は14時7分発だから
約4時間の間ニセコ町で過ごすことになる

ニセコ町についての下調べの中で
有島記念館という施設があることを知った
白樺派の作家、有島武郎が1929年に
自身の所有していたニセコ町の農場を
小作人に無償開放したことを記念した施設
有島武郎については知識で知っているだけで
その作品は読んだことがないが
農地解放の件には興味があったので
訪れてみることにした

当初、有島記念館までは路線バスで行くつもりだったが
該当区間にバスの便は極端に少なく
この時間帯にはバスは無かったため
約2.5kmを歩くことにした

ニセコ 有島記念館

駅の前方をまっすぐに行くとまもなく坂道になる
坂道を右に曲がりながら登っていくと
駅の後方にはニセコアンヌプリ(1308.2m)
しかし、車窓で見た羊蹄山は見えない

ニセコ 有島記念館

高台を登りきって
大きく左に曲がり、平坦な直線になる
このとき前方に目をやると
それまで高台の陰に隠れていた羊蹄山の姿が
このとき初めて、文字通り”迫ってきた”
ちょっとした感動

ニセコ 有島記念館

2.5kmという距離が長いのか、それとも短いのか
よく分からない
しかし、前方ににまっすぐ伸びた雪の歩道は
何時までも果てしなく伸びているように思えた

ニセコ 有島記念館

ニセコ 有島記念館

途中、”有島”という名称を見つける
平屋建ての団地群に付いていた
この町の”字”には農場所有者の苗字がそのまま付いていることが多いらしい
”有島”の字もその名残だろう
後で気づいたのだが
私が歩いていた高台に上ってからの約2kmの道は
そのほとんどが旧有島農場の敷地だった
(さらに、地図の上では同じだけの範囲でその先に広がっている)

ニセコ 有島記念館

ニセコ 有島記念館

有島記念館までは40分ほどかかった
道から記念館に入るまでの導入路の雪の壁は1m以上の高さ

ニセコ 有島記念館

此処から見える羊蹄山の山頂には雲がかかり始めていた

有島武郎が農地解放を宣言した1922年
大正デモクラシーの時代背景の中であっても
その評価は二分したようだ
特に土地所有者の階級からの反発は激しかったらしい

有島自身は
キリスト教的思想と、社会主義的な思想
土地所有の矛盾と小作人の窮状から
早くから農地解放の希望を持っていたようだが
父親の心情(何かあったときにも子孫はこの農場によって生活できる)
との板ばさみの中で
父親の死まで開放することを先送りしていたようだ

また、農場解放を
ただ単に小作人たちに均等に分け与えたのでは
小作人たちの抱えている負債のために
すぐに他人に土地の権利が渡ってしまう、と言う現実を考えて
土地を農民の共有財産とすること
また、経済的自立のために米作の可能性を見極め
解放前に灌漑設備の整備を始めるなど
彼自身の農政学に明るかったことによる見識が生かされており
農場開放が、ただ単に人道主義的作家の感傷的な行為ではない
先々の事まで思い遣った計画的なものだった、ということを
ここを訪れるまでは分からなかった

有島武郎は時代より先を進みすぎていた
時代は有島武郎を理解しなかった

しかし、有島の死後設立された”狩太共生農団”は
負債、凶作、戦争の苦難の中よく持ちこたえ
終戦後まで存続した
農団はGHQの農地開放政策によって解団させられた
土地共有の思想がGHQに快く思われなかったのだろうか

ニセコ 有島記念館

ニセコの、旧有島農場の地は
いま、深い雪に埋もれている
また、気候の穏やかなときにこの地を訪れてみよう
何年先になるだろうか
その時には有島の愛したニセコの風景を
もっと落ち着いて味わってみたい

ニセコ駅まで歩いて戻り
長万部行き普通列車に乗る
長万部で函館行き特急に乗り換え
一年ぶりの函館に入る




にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

同じカテゴリー(北海道)の記事画像
旧函館区公会堂
函館
小樽 祝津
小樽 雪あかりの路
小樽 ランプ
札幌 雪まつり(2)
同じカテゴリー(北海道)の記事
 旧函館区公会堂 (2009-02-14 20:00)
 函館 (2009-02-14 17:00)
 小樽 祝津 (2009-02-13 09:00)
 小樽 雪あかりの路 (2009-02-11 11:50)
 小樽 ランプ (2009-02-11 00:11)
 札幌 雪まつり(2) (2009-02-10 12:00)

Posted by 旅人 at 09:43│Comments(0)北海道
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
ニセコ 有島記念館
    コメント(0)