2012年01月26日

チャイコフスキー 交響曲第五番 (中学生のための音楽会)

チャイコフスキー 歌劇「エフゲーニ・オネーギン」から ポロネーズ
           交響曲第5番ホ短調 作品64

指揮:川瀬賢太郎
日本フィルハーモニー交響楽団

(2012年1月26日 静岡市 グランシップ中ホール・大地)

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チャイコフスキーの小品一つと交響曲第五番が聴けて500円 
これならば、時間の都合さえ付けば、聴かなければ勿体無い 
そう思い、いそいそと出かける 

県内中学生の音楽鑑賞会に割り込む形 
僅かながら一般席が準備されていた 

一曲目は「エフゲーニ・オネーギン」の中の"ポロネーズ" 
この曲は知らない、舞踏会の場面の曲らしい 
一本調子のようにも思えたが、長い歌劇の中のひとコマだからそれもいいだろう

そして交響曲第五番、久しぶりに聴く 
陰影はあるが、全体的におおらかな曲のように思う 

演奏は、良くも悪くも「(指揮者は)若いな」と感じさせられた 
はつらつとした、スピード感のある演奏 
比較的テンポを動かすようだ 
好感の持てる演奏 
でも、スピードを上げて、オーケストラを目一杯慣らさなくても 
いくらかテンポを落として、ずっしりとした音を出して迫力をつけることもできるはず、という意味で 
まだまだ若さに頼った部分はあるように思う 
しかし、変に薄っぺらいようなところ、不自然なところは無かったから 
十分に曲を楽しむことができた 
必ずしも完成されたものだけが尊いわけではない 
「成熟」に向かって進んでいる過程も聴くべきだろう

アンコールに、弦楽セレナーデ第2番の第二楽章

演奏以外で気になったことを一つ 
交響曲を始める前の、指揮者のスピーチで 
「教科書的な知識のことは一切忘れて、自由な想像力で曲を聴いてほしい」と言ったこと 
それはその通りなのだが 
まったく初めての子や関心の薄い子にとっては戸惑ってしまうのではないだろうか 
何か「プロの知恵」のようなもの 
「このような聴き方もある」「こんなところを注目して聴いてみたらどうか」みたいな 
「導き」を多少加えても良いのではないだろうか 
(そのようなことをやっていたのが故山本直純さんの「オーケストラがやって来た」という昔のTV番組)
オーケストラを聴く(「音楽を聴く」と言っても良い)ことは 
一種の「魔法の時間」に入り込むことなのだから 
オーケストラがどんな「魔法」を使っているのか、プロの言葉で語りかけることができれば 
興味が増すのではないのだろうか、と思う

(私としては、初心の方には「テンポを感じながら聴く」ことをお勧めしたい 
 音楽の表情の変化で、「テンポの変化」は一番わかりやすいと思うからだ 
 一定だった速度がある時速くなる、あるいは遅くなる 
 4拍子だった音楽が部分的に3拍子になる、などといった変化があるとき
 そのような場所では作曲家や演奏者が何かしら工夫をしようとしている、「聴かせようとしている」ということを 
 感じやすいように思える 
 また、「テンポを感じる」ということを意識するだけで、聴くことの集中度が増すように思う 
 もし、明日この演奏会を聴く中学生の方がこの記事を読んでいたら 
 何かしらのヒントにしていただけたらと思う )


タグ :音楽



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Posted by 旅人 at 23:15│Comments(2)音楽
この記事へのコメント
こんばんは お元気でいらっしゃいますか お久しぶりです

チャイコフスキーの交響曲たいへん好きです 去年、大阪フィルで後期の三大交響曲のツィクルスを聴いてきました

5番、第2楽章冒頭のホルンは難しいみたいですね 緊張気味のせいかちょっとうーん… というような演奏でしたが、終楽章コーダがテンポを落とさずに畳み掛けるような閉め方で全体的にはまあまあでした

普段はムラヴィンスキーの最晩年の演奏か、カラヤンの71年の録音を聴いています

>教科書的な知識のことは一切忘れて…

ある程度聴き込んでいる方ならともかく、クラシックを聴き始めた方にはやはり鑑賞の手引きが無いと不安だと思います この交響曲ならば、冒頭の動機が手を変え品を変え表れるなどの解説が演奏前にあれば、また楽しみ方も変わったと思うのですが
Posted by q(^-^q)いんどら! at 2012年01月31日 23:33
いんどら!さん、こんばんは。コメント頂きありがとうございます。
私はヴァントのCDで聴き始めて以来、あまり浮気はしていません。もっともヴァントの演奏が最善のものなのかは判らないのですが。カッチリとした演奏に、比較的満足しています。
実演では二回聴いたことがあるのですが、小林研一郎さんが二つのオケをまとめて振った演奏会が、(何しろダブルサイズなので)「実に迫力のあった」演奏でした。
その小林研一郎さんが何年か前「フェスタサマーミューザ」で幻想交響曲を振ったとき、演奏の前に短いレクチャーをしたことがありましたが、曲の世界に入り込みやすい、興味を引く解説だったことを思い出しました。「教育的なプログラム」の場合は、やはり導入が大切なように思います。
Posted by 旅人旅人 at 2012年02月01日 00:22
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    コメント(2)