2010年08月23日

水ノ浦教会 福江島周遊Ⅲ  2010年長崎旅行(13)

水ノ浦教会 福江島周遊Ⅲ  2010年長崎旅行(13)

水ノ浦教会は、楠原教会から10分ほど離れたところにある
木造だが今まで見てきた教会堂と変わらぬ規模を持つ
全体を白く仕上げられ、海を見下ろす高台にある様を
「貴婦人」との愛称があると、どこかで見た気がする




下から見上げるよりは、教会堂の横の高台から
教会堂と海を一緒に視界に入れたとき、「貴婦人」の愛称を納得する事が出来るように思う







しかし、見る角度に関わらずこの教会堂は美しい
レンガ積みの重厚な教会堂を二つ立て続けに見てきた目には
木で造られた白亜の教会堂は端正に映る

1938年(昭和13年)5月竣工、木造、設計・施工は鉄川与助による

室内は白漆喰の壁とライトグリーンに塗られた柱、リブ
天井はコウモリ天井(リブヴォールト天井)

室内は明るく、簡素な雰囲気を持つが、これは祭壇が簡素だった事に起因するかもしれない
それよりも、同じようにコウモリ天井を持つ他の教会堂と比べて
空間構成に何か違いがあるように思えた
他の教会堂の天井頂上の高さよりも低いように思えたにもかかわらず
頭の上の空間が広いように思えたからだ

最初はその理由を掴む事ができなかったが
改めて観察すると、主廊の幅が側廊に比べて他の教会堂よりも割合が大きく採られているように思えた
この感覚は正しかったらしく
後で調べてみたら主廊は側廊に比べて2.65倍(多くは2倍の例が多い)だった

その為だろうか、ハブ(中心)から広がるコウモリ天井の一つ一つの区画が
一つのドームのように思え、大きなドームが連続して頭に覆いかぶさるような感覚がした



(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

教会堂の横手は小高い丘となっており
緩く上方に伸びる小路の脇にはレリーフを伴った小さな十字架が多く立っている




レリーフの一つ一つにはイエス・キリスト受難の物語が描かれている
それらの存在が、この小さな区画を「何かを思いながら辿る道」にしている

キリスト教徒なら、イエスの受難によって人々が救われるということについての
確信と感謝だろうか

それでは私のような信仰を持たないものにとっては、何を思えばよいだろうか
強い信念(彼の場合には「愛」だろうか)をもった人の、その信念に殉じた姿だろうか
彼にとっての結末は過酷なものだったが、その信念の強さと美しさを思い浮かべる

「信じる」ことには美しさがあるように思う
しかし、同時に「信じる」ことがそのほかの対象に対して「残酷」になることもある
(それはあらゆる宗教や信念に共通している、だから「争い」が起きる)

「美しさ」を感じると共に、「残酷」さに陥る事の危惧も感じながら
思いに耽っていた




その時、教会堂の前にある鐘が鳴った
時は正午、一人の修道女が鐘の下にたって、ひもを操っている
最初は間隔を置いて、終わりのほうでは細かく「音が散らばるように」鐘がなる
最後の音が雲の混ざる青空の中に消えていったとき
教会堂を中心に広がる集落は再び静寂に包まれていった


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Posted by 旅人 at 23:00│Comments(0)長崎県
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