2010年08月24日

貝津教会と井持浦教会 福江島周遊Ⅴ  2010年長崎旅行(15)

貝津教会と井持浦教会 福江島周遊Ⅴ  2010年長崎旅行(15)

「辞本涯」碑からもと来た道を戻り、貝津教会へ向かう

貝津教会は、外観はさほど特徴は無いように思う
単層の屋根の前方に尖塔(鐘塔)が載った、木造のシンプルな形の建物
もっとも、三沢博昭著の写真集「長崎の教会」の解説では
玄関から二間の部分は増築と判断している(脇にステンドグラスの窓が無い部分)
したがって尖塔も当初のものではないようだ

内部も主廊部が一段高くなっただけの平天井
これもまたシンプルだが、天井や梁にデザインや装飾彫りが施されており、簡素ながら美しい
どこか出津教会の内部構成に似ているようにも思えるが、あれほどモダンではない




貝津教会の見所は窓のステンドグラスだという
ステンドグラスを通り抜けた日の光が
床に色模様を描くのは神秘さを伴った美しい光景だ




貝津教会を出て井持浦へ向かう途中、最初のトンネルを通らずに海岸線の山道(旧道)を登ると
高台の上に観音様が立っている



(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

「そこから見る風景が良い」とレンタカー会社の人が教えてくれたので行って見た
そこから見える風景、「日本一美しい」といわれる高浜ビーチが見える
白い砂浜と、ここでも透き通る青い海

夏の盛りだから、この砂浜に海水浴客を認めることが出来るがその数は少ない
この美しい「ビーチ」は人が少ないという点でも「かなり気持ちが良さそうだ」


私の感覚では、堂崎教会から貝津教会まで回れば教会巡りのおおよそ見所は網羅されたように思えるが
観光案内では「井持浦教会のルルド」は大きく宣伝されている

貝津から井持浦までは意外と距離がある





道路の分岐を井持浦に折れ、いよいよ井持浦が近くなってきた道の傍に
「立谷教会跡地」という、石造りのモニュメントのような標識が立っている
その標識に従って道を折れ、細い道を辿っていく

五島の地には多くの教会がある、しかし以前には更に多かった
しかし離島の僻地では人口の減少や離村など、教会堂を支える信者の減少・消失の例も多い
そのために朽ち果て、失われた教会堂も多いようだ
そうした教会堂の中でも立谷教会堂の消失を惜しむ声は大きいように思える




写真で見た在りし日の立谷教会堂の外観は十字架が無ければ民家そのもの、という簡素さ
しかし中に入るとコウモリ天井が張られた「小さい規模で精一杯背伸びをした」ような空間
1881年から87年にかけて建てられたというが、この地方の教会堂の原初の形を残していたという
過疎化による信者の減少によって廃堂となり
最終的には1991年(現地の碑文では1987年となっている)に倒壊したという

今まで信者の方々によって守られた「生きている」教会堂を幾つも見てきた
しかし、「生きているもの」は「死ぬ事」もあることを思い浮かべなければならない
今まで省みなかった宝石も、失われると途端に惜しむようになる






今、立谷教会堂跡地には かつて教会堂に安置されていたというマリア像が
岩窟を模した「祠」の中に安置されている





立谷教会堂に、後の倒壊につながる大きな被害をもたらした1987年の台風は
旧井持浦教会堂にも大打撃を与えたらしい
もし残っていれば福江島最古のレンガ積み教会だったという旧井持浦教会堂は撤去され
その跡にコンクリート造りの新しい教会堂が建てられた

旧井持浦教会堂の写真はほとんど眼にしない
インターネットを検索してもようやく一枚、その面影を伝える写真を目にしただけだ

現在のコンクリート造り教会堂もスマートだが
(側面を取り囲むアーチに旧教会堂の面影を残す)
もし昔の建物が現存していたならば
宝亀教会に見られたような出入りの出来る細長い「窓」を伴ったアーチの連続が建物の3面を囲む
特異な形式のレンガ積み教会堂を目の当たりにしたに違いない




井持浦教会は、現在では「日本最初の“ルルド”」として知られていると思う
「ルルド」はフランスの一地方の名前で「聖なる泉」が湧き出た所だという
「ルルドの泉」は聖母マリアのお告げによって見つけられ
その水は幾多の病人を治癒したと言う奇跡で知られているらしい

そのルルドの岩窟を模したものを造り
その脇に掘った井戸に本家の「ルルド」からもってきた「聖なる泉」の水を注ぎ込んで
「第二の霊泉地」とした、という

私自身は、この手の「奇跡物語」は苦手なのだが
もしこの「ルルド」によって心の支えを得た人がいたとしたら
「奇跡物語」も否定すべきではないかもしれない

8年前にここを訪れたときに設置されていた「ルルド」の説明版の最後は
「信じるものに説明は無用、信じないものに説明は無駄である」
という言葉で締められていた

現在の説明版には、さすがにこの言葉は無い
しかし、この「8年前に書かれていた言葉」には
“信じる”“信じない”、この両者の間にある「落差」が一線を越えがたいものであることを感じさせる







福江島周遊、最後は景勝地・大瀬崎
8年前に撮った写真を別の記事に使った事があったが
あの時は良く晴れた日の夕刻だった

今回、天気は8年前ほどではなかったが、時折青空を見せる まずまずの空模様だった
しかし大瀬崎に着いた頃に天候は崩れ始める
高さ100mは有るという断崖や各種地層の見られる景勝地の見物もそこそこに
降り出した雨の中、車に戻る

福江島周遊、といっても大瀬崎は福江島の一番奥に当たる
17時半のレンタカー返却時刻に遅れないよう、急いで福江の町に戻る

福江の町に着いた頃、天気は回復していた


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Posted by 旅人 at 20:52│Comments(0)長崎県
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