2010年08月26日

中ノ浦教会から青砂ヶ浦教会迄 上五島周遊Ⅱ 2010年長崎旅行(18)

中ノ浦教会から青砂ヶ浦教会迄 上五島周遊Ⅱ 2010年長崎旅行(18)

日島から中通島に戻り、道を北上する
中ノ浦教会はその道沿いの入り江にその姿を現している









白く塗られた木造の教会堂
小振りだが奥行きが長く、幅の割には高さもある
外観の装飾はほとんど無く、質素な印象を受けるが
それが一種の「可憐さ」を感じさせる

教会堂の中も折上げ天井(船底天井)となっていて
コウモリ天井を使う教会堂よりも素朴な雰囲気がある
しかし、主廊天井下壁面は花柄で飾られており、まさしく「ハナを添えている」



(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

入り江の水面に教会堂が映された時が美しい、といわれるが
訪れた時には干潮に近く、その情景を見ることは出来なかった




(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)


(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

更に北上する
大曾教会は中ノ浦教会から車で30分ほどの所にある
漁港を見下ろす高台にある教会堂は遠くからも認めることが出来る
この付近の住民はほとんどがカトリックの信者なのだそうだ




中央に鐘塔を据えたレンガ積みの教会堂の雰囲気は先日見た田平教会堂に似た雰囲気がある

1916年(大正5年)8月竣工、レンガ造、設計・施工は鉄川与助による








レンガ積みの外壁は、レンガの色合いの違いを利用した装飾が施されている
(帯状の装飾、窓周りの装飾など)
このようにレンガの色合いの違いを利用する「センス」には、感性の細やかさを感じる




入口の前には「キリスト像」が両腕を上げて、来た人々を招き入れる




教会堂の中は、定番のコウモリ天井となっている
今まで見てきたアーチを使ったデザインは、先の尖ったアーチ(ポインテッドアーチ)が多かったが
此処では円形のアーチが使われている
五島の教会ではここ以外では水ノ浦教会が円形アーチだった(建築年代は大曾教会よりも下る)

教会堂内は他の教会と同様撮影できないが
中には記念のスタンプと共に
裏に「来訪記念」と書かれた名刺を一回り大きくした大きさの堂内写真のカードが配布用に置かれていた
このようなカードを準備してくださった教会関係者の方々のご配慮に感謝したい
(上の堂内写真は、配布されたカードから転載させていただきました)





(パノラマ写真 写真をクリックしてください 拡大します)

車は更に北に進む
この日最後の訪問地は青砂ヶ浦教会、ここも漁港を見下ろす高台にある点で
ロケーションが大曾教会と似ている
教会堂という存在は地域のランドマークとなっていたのだろうか








1910年(明治43年)10月竣工、レンガ造、設計・施工は鉄川与助による(国重要文化財)

今回の旅行記事の中で、設計・施工者として鉄川与助の名前が何回も出てくるが
彼は明治期から昭和期にかけての日本における教会建築の第一人者だった
大曾教会や青砂ヶ浦教会の近くにある魚目地区に大工の息子として生まれる
若い頃に見た教会堂の美しさに惹かれて
以後五島や長崎にいた外国人宣教師(彼らは建築の素養もあった)から教えを受けながら研鑽を重ね
長崎を中心に多くの教会堂を建てる
その幾つかは国重要文化財の指定を受けている
彼自身は浄土真宗の仏教徒だった事も、常にエピソードの一つとして語られている


青砂ヶ浦教会の正面意匠は押しの少ないスッキリとした物のように思う
大曾教会の押し出しの強さも無く、楠原教会の表現意欲が表に出ることも無い
レンガの色の違いを装飾に応用する事も、極めて部分的のように思う
鉄川与助にとって二軒目のレンガ造り教会だったそうだ
しっかりとした基準作を造ったというふうに思う
基準作の水準が高ければ、応用や崩しも可能になる

教会堂の内装意匠は楠原教会のそれに似ているように思える
しかし、楠原教会が後年 祭壇付近を改変したために前後の違和感が生じたのに対し
青砂ヶ浦教会は当初のままのようだから、統一感のある美しさが有るように思う








教会堂の外に出る
青空の中、西に傾いた日の光は教会堂の正面を赤銅色に輝かせている
8年前にここを訪れた時も、同じように晴れの日の夕刻だった

あの時も同じように美しかった

あの時の幾つもの教会の印象が、今回の旅行に私の心を駆り立てた

その中でももっとも輝かしい姿を青砂ヶ浦教会は最後に見せてくれた



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Posted by 旅人 at 18:35│Comments(0)長崎県
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