2009年08月20日

當麻寺

當麻寺

創建当時からの東西二つの塔が現存する唯一の寺として有名だが
この寺を訪ねてくる人はそう多くはない
奈良市内から一時間以上かかる為か
奈良市内の有名寺院や法隆寺などに比べると
境内はずいぶん静かだ

當麻寺
(パノラマ写真 写真をクリックしてください、拡大します)


當麻寺
(パノラマ写真 写真をクリックしてください、拡大します)

境内には確かに
南北に二基の塔、金堂、講堂が並んでいて
古代寺院の七堂伽藍の形をとっている
しかし境内の南半分は山の斜面になるので
二基の塔は小高い山の斜面にある





東塔と水煙





西塔と水煙


その二つの塔は
どちらも小ぶりな三重塔
水煙の形(東塔の水煙は魚の骨のようなデザイン、西塔の水煙はいくらかデザインされている)や
二重目及び三重目の形の比較(東塔は二間、西塔は三間)から
東塔のほうが古いらしい
本来は伽藍の中心なのに、ひっそりと建っているように思う
自らは主張をしないが、古雅な趣がある


當麻寺
(パノラマ写真 写真をクリックしてください、拡大します)


當麻寺を離れてから気が付いたのだが
金堂、講堂、本堂といった主要な建物を個々に写真を撮っていなかった
個々の建物は、単層で見かけが地味なのだ
むしろ、塔や塔頭寺院などを含めた一つの建築群として見た方が面白い
地味ではあっても建築物やその屋根の重なりが独特のリズムを持っている

伽藍の主要な建築物は天平時代から鎌倉時代にかけてのもので
収蔵の仏像他と共に国宝・重要文化財が多い
中でも面白いのが金堂収蔵の四天王像
顔に髭を生やしており
後の四天王像に多い怒り一辺倒の表情ではなく
憤怒の面ではあっても沈着な面持ちの西域の武将のようである
三体が白鳳時代の乾漆像
多聞天のみが鎌倉時代の木像だがよく白鳳の様式に合わせている
しかし足下に踏まれている邪鬼のみは
白鳳の邪鬼に比べ
鎌倉の邪鬼は筋肉の力強さが見られ
それが鎌倉彫刻であることを示している

なお、通常は金堂が本堂なのだが
当麻寺では曼荼羅堂という別の御堂が本堂となっている
この曼荼羅堂にある「當麻曼荼羅」がこの寺の本尊となっている


當麻寺
(パノラマ写真 写真をクリックしてください、拡大します)


塔頭の中で中之坊と西南院に美しい庭園がある
中之坊の庭は「香藕園(こうぐうえん)」と呼ばれる
「大和三名園」のひとつとされ東塔を借景としている






西南院の庭も塔(西塔)を借景にしている
この日は上がらなかったが
書院から庭を見ると綺麗だ




最後に奥院の高台からもう一度二つの塔を含む境内を眺望する

有名な割には地味な印象の寺だが
豊かな文化財と観光ずれしていない素朴な雰囲気、落ち着いた景観に魅せられる

そして、門前の街並みと
此処から少し離れているが竹内街道の街並みという
二つの歩いて楽しい場所がある



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Posted by 旅人 at 00:15│Comments(2)奈良県
この記事へのコメント
20年くらい前に當麻寺を訪れたときは、この地域全体が静かな里といった雰囲気で大変気にいりました。
近鉄の駅から歩く道すがらの家々もそれなりに歴史を感じさせてそれだけでうれしくなったものです。
ところが5年くらい前に訪れたときは国道が地域を貫通していて雰囲気がかなり一変していていました。
やや大げさに言えば、単なる郊外の新興住宅地になりさがったといった趣さえ感じられるようになってしまって非常にがっかりしました。
まあ、地域の発展を考えれば仕方がないのかもしれませんが・・・
Posted by あおい君 at 2009年08月20日 06:50
あおい君さん、こんにちわ。
 当麻寺駅を降りて1km余の参道を歩くと、おっしゃられる通り その半ばで国道が現れます。また、この付近や参道を離れたところでは最近の住宅が多く、この部分では郊外の新興住宅地ということが言えそうです。
 確かに昔の雰囲気を残すのは難しいことです。駅付近の農村の雰囲気から門前の昔を思わせる集落に自然に移ることが出来れば一番良いこと思います。
 私が先日歩いたときの感想を言いますと、国道を越えたあたりから線状に伸びた落ち着いた街並みが始まる様です。そして当麻寺に近づくにしたがって、「線」は小規模ながら「面」に変わっていくことも実感しました。
 この国道を越えた辺りからの参道については、当麻寺参拝の後に歩いた竹内街道の街並みと共に記事に書いてみたいと思いますが、当麻寺門前のごく僅かな飲食店を除いて(その飲食店も決して雰囲気を壊すものではありません)此処にはまだ「商売」にさらされていない、落ち着いた懐かしさがあるように思います。これらの景観が、国道付近の景観の変化と同様にこれから変わっていくことも有るのかもしれませんが、出来ればこの景観がこれ以上変化しないよう願うところです。
Posted by 旅人旅人 at 2009年08月20日 10:59
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    コメント(2)