2012年11月11日

奈良

奈良

前の記事に書いたとおり 
今年の秋もまた奈良へ来た 
夜行バスに乗り、早朝の京都駅に着く 
この旅程は昨年の秋と同じ 

毎年この時期に奈良へ行くので 
ブログ記事も同じようにこの時期奈良について書いている 
おそらく、以前の書いたことを忘れて記事を書けば 
今まで書いたこととまったく同じことをまた書くだろう 
だから、毎年この時期に奈良のことを書こうとするとき 
なるべく違ったことを書くように努力したつもりだ 
しかし、私の好む奈良公園付近の景観は 
この20年ほどの間、ほとんど変化は無い 
興福寺の境内のみ、大きな変化が起こりつつあるのだが 
それ以外は変わりないのだから 
「毎年違ったことを書く」のは、土台無理な話なのだ 

2012年10月29日 朝陽 近鉄京都線の車窓
2012年10月29日 朝陽 近鉄京都線の車窓 posted by (C)備忘録 旅人
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京都駅からは近鉄線に乗って奈良に入る 
去年はJR経由だからこの部分は違うが、せいぜい誤差の範囲に過ぎない 
まだ暗いうちに乗ったので、途中車窓に朝日を見る  
前を流れるのは木津川だろうか 
昨晩の雨の名残か、空にはまだ雲が掛かっている 



2012年10月31日 近鉄奈良駅 360度パノラマ写真 HDR
2012年10月31日 近鉄奈良駅 360度パノラマ写真 HDR posted by (C)備忘録 旅人
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近鉄奈良駅に着いたのは7時過ぎ 
行基菩薩像の前も、まだ人影は少ない 
(あまりに人が少なく、商店もシャッターがしまっていて殺風景だったから 
 昼間に写真を撮り直した )



2012年10月29日 朝陽 猿沢の池にて  HDR
2012年10月29日 朝陽 猿沢の池にて  HDR posted by (C)備忘録 旅人
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駅前から延びるアーケード街を南に下がり、三条通との交点を左に曲がると 
すぐに興福寺南円堂に上る石段と「猿沢の池」が見える 
「猿沢の池」の景観も変わりない 
しかし此処で朝日を眺めることはあまり無い 
昇ったばかりの朝陽、水面に映った朝陽 
絶景ではないが、美しい 




2012年10月29日 興福寺南円堂前 360度パノラマ写真 HDR
2012年10月29日 興福寺南円堂前 360度パノラマ写真 HDR posted by (C)備忘録 旅人
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「猿沢の池」から石段を登り、南円堂で手を合わせる 
これもまたいつもどおり 
早朝は人の気配が少ない 
雲の動きは激しく、先ほど「猿沢の池」で見た朝陽に雲が掛かり始める 
南円堂の背後では、再建中の中金堂を囲う素屋根が存在感を増している 
出来上がるものよりも大きいのだから、強い存在感も当然のこと 
再建にはまだ何年もの歳月が掛かる 

あとしばらく待てば、興福寺の諸堂を読経の為に回る僧侶たちの列に出会うことが出来るだろう 
しかし、私は道を先に進む 
興福寺境内と奈良公園は境無く続く 

朝の陽の光はまだ鈍いが徐々に強さを増していく 
万物は色を取り戻していく 



2012年10月29日 猿沢の池 (1)
2012年10月29日 猿沢の池 (1) posted by (C)備忘録 旅人
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浮見堂へは東に向かって歩く 
だから、朝は常に太陽に向かって歩く 
最初に浮見堂を見たとき、強い逆光のために色の抑えられた風景が目の前に広がった 
今年の朝も、静かな水面に浮見堂の姿が映し出されている 
太陽に向かってみる、柔らかい風景 



2012年10月29日 猿沢の池 (2) HDR
2012年10月29日 猿沢の池 (2) HDR posted by (C)備忘録 旅人
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しかし、太陽を背にした反対側から浮見堂を見ると 
まったく違った色彩を見ることになる 



2012年10月29日 奈良公園 浮見堂 360度パノラマ写真 HDE
2012年10月29日 奈良公園 浮見堂 360度パノラマ写真 HDE posted by (C)備忘録 旅人
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朝日の強い光を正面に受けた風景は 
昼間見るよりも更に鮮やかな色彩を得ているように見える 
興福寺を出た時には雲の広がっていた空模様も 
今は晴れ渡っている  
昨夜の雨の名残りが、橋の床をぬらしている

朝の風景の両極面 




2012年10月29日 奈良公園 飛火野 360度パノラマ写真 HDR
2012年10月29日 奈良公園 飛火野 360度パノラマ写真 HDR posted by (C)備忘録 旅人
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道沿いの木々には赤いものが増えている 
奈良の紅葉シーズンが始まっている 

浮見堂から道を挟んで東側の区域は「飛火野」と呼ばれている 
先ほどは池の景観だったのだが 
此処では高原のような、穏やかな起伏のある広い芝地の風景 
所々ある木々が、此処では赤く染まっている 
今年初めての、紅葉らしい紅葉 
広い草原にポツンと一つだけ立つ紅葉樹は、美しいコントラストを見せる 
空は..... 
先ほどは青空が広がっていたのに 
もう曇り空になっている 
所々には青空の名残 




2012年10月29日 鹿 奈良公園 (1)
2012年10月29日 鹿 奈良公園 (1) posted by (C)備忘録 旅人
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草原には、此処が「奈良」であることを主張しているかのように 
鹿の一群が思い思いに散らばって草を食んでいる 

飛火野の草原から浮雲園地に向かう 
木々の数が増え、紅葉樹もまた増えていく 
もちろん最盛期ではないが、奈良公園では紅葉は早くから楽しむことが出来る 
この日、雲の流れは早い 
先ほどの曇り空は、また晴天に変っている
このあとも空模様は目まぐるしく変わっていく 





2012年10月29日 東大寺大仏殿
2012年10月29日 東大寺大仏殿 posted by (C)備忘録 旅人
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早朝の東大寺 
この時間帯の清々しさもまた以前書き残している 
何度訪れても良い 
特に、夜行バスを使って奈良に来るようになってからは 
3度ほど続けて訪れることが出来た 
いつも大勢の人の姿と共に見る所だからこそ 
人の少ない中で見る大仏殿は荘厳に見える 







(画面の中を直接ドラッグすると、画像を回転することが出来ます
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三つのパノラマ写真は6月に訪れたとき、まったく同じ場所で取ったから 
再度の掲載になる 
しかし、6月に撮ったときよりも上手に撮れたから、改めて載せてみた 


大仏様は大きい 
大仏殿も大きい 

しかし、創建のとき、鎌倉再建のときは 
もっと大きかった 
大仏様の顔立ちも、今よりもずっと良かっただろうと言われる 
だが、当時の権力者によって創建された大仏様と大仏殿も 
再建されるときには名も無き多くの「民」の力(喜捨)によって行われた 
「国家護持」の大仏様は、「民」の心を支える存在に変っていった 
そのことを忘れてはいけないだろう 
いまある「大仏様」の意味と価値は大きい 


大仏様は大きい 
大仏殿も大きい 

しかし、大きな大仏様が居られると 
大きな大仏殿の空間も狭く感じる 
多分バランスの問題なのだろう 
大きな大仏様には、更に大きな余白を求めてしまうから 
大きな大仏殿も狭く感じるのかもしれない 
創建時の、鎌倉再建時の大仏殿を体験してみたい 
もしかしたら、そこには今以上に「宇宙」を感じるのかもしれない 



このあとも、いつも通り戒壇院へ向かい 
講堂跡に寄りながら二月堂へ向かった 
二月堂横の茶屋で頼んだ甘味は 
いつも通りの「ワラビ餅」 

また、毎年書いていることを改めて書いてしまったのかもしれない 
しかし、奈良の中で変ることの少ない部分を味わうこと 
そのことを求めているからこそ、そうなるのだ 
それでよいのだと思う 

「奈良は
 街から杜へのグラデーションが素晴らしい」
このことは私がブログを始め、初めて奈良について書いたときに 
最初に書いたことだった 

今でもその感想は変らない 
たとえ奈良の「街」が、建物がそっくり建て代わったとしても 
街から杜へのグラデーションに変化は無いだろう 
街から杜に、いつの間にか紛れ込み 
しかもその杜の奥行きは、とてつもなく深い 
奈良の街だけが持つ魔法のような世界だと思う 
そして、その世界を「歴史の深さ」が包む 

私が奈良を訪れ、歩くのは 
その「魔法のような世界」の、ほんの先端に過ぎない 
しかし、その「魔法」ゆえに毎年機会を捉えて訪れている








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Posted by 旅人 at 19:51│Comments(2)奈良県
この記事へのコメント
はじめまして。
母方の郷里のある長崎と育った奈良のエントリ中心に、しばしば拝見させていただいております。

定年後の健康管理のため興福寺・春日大社・若草山麓・東大寺をめぐる2時間ほどの早朝散歩をはじめた父が言うには、コースを何度歩いても発見があるといいます。

そこで帰省時には散歩のお供をすることになり、まだ人気の少ない開門前後の大仏殿のそばを通るのですが、そんな場所で地面にムササビの食べたマツボックリが落ちていたり、梢からキツツキのドラミングが聞こえたりします。

私も遠くのまちに泊まったときは早朝に歩いて空気を味わってみるのですが、長年過ごしたはずの奈良について何も知らずに育ってきたと知り目から鱗が落ちる思いでした。
Posted by kazagasira at 2014年01月14日 00:27
kazagasiraさん、こんにちは。コメントいただきありがとうございます。

奈良という土地が好きで何度も訪れていますが、それが旅行者の目による奈良であることは確かだと思います。旅行者の目による観察が地元の方とは違った所に向かうことはあると思いますが、地元の方のその土地への愛着と視点の深さに敵うものではありません。

奈良に暮らしていられたとのこと、また長崎に縁があるとのと、うらやましく思います。「何も知らずに」と仰られますが、「知っていた、気づいていた」という事に「気づいていなかった」ことも多いのではないでしょうか。その土地に暮らすということは知らずともその土地の「多くのこと」が体に染みついているものです。
旅行者はその土地に対しての知識・洞察力が欠ける為、見るものすべてが新鮮に思えますが、その土地のことを知るには地元の方の知識と洞察力を必要としています。

私自身は少しづつですが地元の静岡のことに改めて目を向けています。よく知った場所のつもりでも、改めて知ることは多いものです。kazagasiraさんもまた、帰省のたびに奈良について「再確認」されることが多いのではと思います。そのような「再確認」したことや小さな発見がありましたら是非教えてください。自然の豊かな奈良公園にしても、鹿にしか目を向けない旅行者には、聞こえていても「キツツキのドラミング」には気が付かないものです。それがムササビの食べたマツボックリなのかはわからないものです。そんな小さなことが一つの土地への親近感を増すようです。
Posted by 旅人旅人 at 2014年01月14日 13:40
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