2012年06月19日

久しぶりの法隆寺 (360度パノラマ)

久しぶりの法隆寺 (360度パノラマ)

法隆寺へ行くのは3年ぶりだ 
前回訪れたとき、講堂は屋根の葺き替えのため素屋根に覆われていた 
工期は約二年との事だったから、昨年の内に素屋根は取り払われていたはずだが 
昨年は法隆寺へ行く機会を作らなかった 

法隆寺だけを目指すのなら、JR線で「法隆寺駅」まで行くのが早い 
以前は奈良中心部から王寺駅行きのバスと「奈良・西の京・斑鳩回遊ライン」が 
1時間に合計3本出ていたのだが 
現在は「奈良・西の京・斑鳩回遊ライン」のみとなり 
日中1時間に1本となってしまった 

JR法隆寺駅からは、法隆寺門前まで1時間に3本のバスが出ている 
20分間隔だ 
しかし、法隆寺までは歩いても20分ほど 
「20分待ってバスに乗る」か、「20分歩く」かは、人それぞれだが 
私は今回は歩くことにした 

もっとも、現在この20分間の歩行の内に見る光景は 
大概は、そこそこに広い車道の両脇に現代風の商業施設などが並び始めている 
日本の各地にありそうな光景のように見える 
所々、白壁の蔵を備えた近郊農家の集落と思える光景もあり 
時間が有ればそのようなところに迷い入ることも楽しいかもしれないが 
今回は法隆寺に直行する 


2012年6月4日 法隆寺 参道 松並木 (1)
2012年6月4日 法隆寺 参道 松並木 (1) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 



国道に面した、法隆寺の敷地の前に立つと 
其処から南大門まで松並木が続く 
「俗から聖」への橋渡しの道となるはずだが 
その松並木からも、左右には土産物店がみえ 
更に修学旅行他の観光バスの列がそれに加わる 



2012年6月4日 法隆寺 参道 松並木 (2)
2012年6月4日 法隆寺 参道 松並木 (2) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 



このような光景を「取り返しのつかないほど俗化した」と嘆く人もいるだろう 
この表現を直木孝次郎氏(歴史学者)の本の中で見たように覚えている 
しかし、「観光化した」法隆寺しか知らない 
そして、この日見たのと同じように修学旅行生として拝観したのが初めての法隆寺体験だった私としては 
「俗化」だけで切り捨てる気にはなれない 
(結局、「原体験」がその後の価値観に大きく影響するということだろう)

だが、法隆寺駅から歩いてきたとき感じたことだが 
多分昔は駅から法隆寺までの間は長閑な田園風景だったのではないかと思う 
田んぼと農家の家並みのみが見える風景の中に 
だんだんと法隆寺の伽藍が近づいてくるのを見るとき 
その光景は感銘の深いものだったのではないかと感じられる
(前出の直木幸次郎氏の著書にも同じことが述べられていた)
そのような光景はもう多くの場所で失われているだろう 
せめて新しく建てられるであろう建築物が、景観と調和したものであってほしいと思う 



2012年6月4日 法隆寺 南大門
2012年6月4日 法隆寺 南大門 posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 


南大門の前に立つ 
この門を越えるといよいよ「聖域」となるのだが 
門の内側もまた、修学旅行生を始めとする観光客が後を絶たない 






2012年6月4日 法隆寺 境内 中門前 360度パノラマ写真
2012年6月4日 法隆寺 境内 中門前 360度パノラマ写真 posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 



(画像右上の"□"をクリックすると、パノラマサイト「花鳥風月」の該当ページで、
 拡大表示されたパノラマムービーをより良い画質で見ることが出来ます) 

しかし、この南大門の内側に立ったときに初めて法隆寺らしい光景が目の前に飛び込んでくるように思う 
そしてもし人がいなければ、この上なく清楚な広場が目の前に広がるはずだ 
多くの参拝客ゆえに、法隆寺は「観光化」されていると思いがちだが 
この広場(参道?)の清楚さ、神聖さはなんら変らない 



2012年6月4日 法隆寺 西院 360度パノラマ写真(1)
2012年6月4日 法隆寺 西院 360度パノラマ写真(1) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 



(画像右上の"□"をクリックすると、パノラマサイト「花鳥風月」の該当ページで、
 拡大表示されたパノラマムービーをより良い画質で見ることが出来ます) 

2012年6月4日 法隆寺 西院 360度パノラマ写真(2)
2012年6月4日 法隆寺 西院 360度パノラマ写真(2) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 

この光景はいつ見ても変らない 
前回訪れたとき素屋根に囲われていた講堂も 
今は以前の姿で佇んでいる 
そして、建物の間を渡り歩く修学旅行生・観光客の姿もまた変らない 
五重塔もまた、その場所で変らず立ち続けている 




2012年6月4日 法隆寺 西院 回廊(2)
2012年6月4日 法隆寺 西院 回廊(2) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 

2012年6月4日 法隆寺 金堂
2012年6月4日 法隆寺 金堂 posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 

2012年6月4日 法隆寺 五重塔 (1)
2012年6月4日 法隆寺 五重塔 (1) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 

2012年6月4日 法隆寺 五重塔 (2)
2012年6月4日 法隆寺 五重塔 (2) posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 


国内には多くの木造古塔が存在している 
もし、「その中でどの塔が一番好きか?」と問われたら 
恐らくその答えに迷う 
美しいリズムを持つ薬師寺の東塔は間違いなく候補になるだろう 
個人的には塗りなおす前の岩船寺三重塔が好きだった 
だが、法隆寺の塔の前に立つと 
その奇をてらわない、率直な、根源的な力強さに打たれる 
薬師寺東塔が修理中となり、岩船寺三重塔の雰囲気が少し変化した現在では 
法隆寺の塔に一票を投じることになるだろう 
(それでも岩船寺の塔は捨てがたいのだが)



2012年6月4日 法隆寺 夢殿への参道
2012年6月4日 法隆寺 夢殿への参道 posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 

この日はごく普通に西院と東院を拝観しただけで済ました 
天候に不安があり、時間も押し詰まっていたからだったのだが 
法隆寺とその周辺を半日で済ますのは無理なことだ 

修学旅行生の列を道連れに、東院へ向かう 





2012年6月4日 法隆寺 東院 360度パノラマ写真
2012年6月4日 法隆寺 東院 360度パノラマ写真 posted by (C)備忘録 旅人
(画像をクリックすると、写真共有サイト「フォト蔵」の該当画像ページで拡大画像を見ることが出来ます 
 該当ページの中の「他のサイズで見る」を選択してください) 



(画像右上の"□"をクリックすると、パノラマサイト「花鳥風月」の該当ページで、
 拡大表示されたパノラマムービーをより良い画質で見ることが出来ます) 


東院に着いた当初は西院と同様団体の列が途切れなかったのだが 
15時を過ぎると区切りがついたのだろうか、団体の参拝客はめっきりと減ってきた 
東院は西院に比べてだいぶ狭い 
このような場所は静かな雰囲気の中で佇みたい 

何時見ても均整の取れている「夢殿」 
周囲の回廊と共に、西院のような力強さではなく 
繊細な「工芸品」として其処に建っている様に思う 
それであればこそ、この場所は居心地のよい「狭さ」を感じる 
もし「夢殿」のみが単独で広い地平に建っていたのなら 
この建物に今以上の感銘は受けないだろう 
「夢殿」には、回廊という「結界」が必要とされている 


3年ぶりの法隆寺拝観は、あわただしく終わった 
またいつか、穏やかな日に周囲もあわせて一日中歩き回ってみたい、と思いながら 
また20分かけて法隆寺駅に向かって歩き始める 
「聖」から「俗」への逆戻りだが、これが日常なのだろう











にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

同じカテゴリー(奈良県)の記事画像
日本聖公会 奈良基督教会 - 寺社建築による教会堂
奈良 - 私にとっての「かわりばえのしない」旅
奈良
第64回正倉院展
大仏様を見た後、いつも通りの道を歩く (360度パノラマ)
奈良町 (360度パノラマ)
同じカテゴリー(奈良県)の記事
 日本聖公会 奈良基督教会 - 寺社建築による教会堂 (2019-12-20 01:02)
 奈良 - 私にとっての「かわりばえのしない」旅 (2019-12-13 19:00)
 奈良 (2012-11-11 19:51)
 第64回正倉院展 (2012-11-09 00:43)
 大仏様を見た後、いつも通りの道を歩く (360度パノラマ) (2012-07-19 22:32)
 奈良町 (360度パノラマ) (2012-07-15 01:39)

Posted by 旅人 at 22:43│Comments(0)奈良県
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
久しぶりの法隆寺 (360度パノラマ)
    コメント(0)