2009年10月30日

第61回正倉院展

第61回正倉院展

秋に奈良に行き、正倉院展を見る
このことを毎年繰り返して今年でちょど20回目
初めの頃は時々見に来ればよい位に考えていたのですが
年に一度とはいえ、良く20年続けて来れたものだと思っています
この20年間の間に、より展示されている品々を深く見ることが出来るようになったのか
少し疑問の点もあるのですが
正倉院展に通うことによって他の時期にも奈良に行くようになり
更には他の地域への旅行へも行くようになる切っ掛けとなったように思います


展示物の内、古文書・写経についてはよく分からないので
パッと眺めるだけで見た気になる程度ですが
工芸品についてはその丁重な作業、細かい装飾、美しい意匠に
常に惹かれる物があります
全ての品ではないものの
1200年以上たった木製品の一枚板に反りが認められないのを
驚嘆の目で眺めるのは毎度の事ですし
寄木細工で装飾された箱の意匠のモダン
象嵌で施された文様、螺鈿細工の鏡
小指ほどの細さの小刀(ペーパーナイフのような物)の鞘にさえ
装飾がなされていることに
この時代の「王侯貴族」の美意識に基準を考えてしまします
それは「国際性」という言葉で説明されるようですが
色々な様式の物が「美しい」「面白い」「渡来の貴重な物」という基準で
残されているようです
よく分からないのは、そのとき大和土着の「美意識」「価値基準」が
どの辺りにあったのか
独自の価値基準が「渡来品」の評価・選択にどの程度影響したのか
それとも「渡来の品は全て素晴らしくて貴重」という
「文化後進国」特有の見解の元に受け入れたのか、という点です
 (たとえば、「侘び、寂び」の目を持った人が
 輸入品を「侘び、寂び」の観点で改めて再評価する、ということです)

いずれにせよ、目の前にある品々は
美しく、貴重な物であることに間違いは無く
これらの品々に囲まれて生活していた人々の存在とその美意識に
思いを馳せるのです
その反面、その生活を支えていた人々の貧しさ
宝物の中にある簡素な布製品(下着類、布にかかれた絵等)に使われている布が
これらの人々の「税金」として納められたものだという事実にも
心を砕きたいと思います

個々の宝物の中では
象嵌の施された琵琶が目玉の展示物と思われます
また、碁盤が一つ展示されています
三品ある碁盤の内の最も簡素な物と思われますが
それでさえ、象牙の白い線と装飾
盤面の木目の面白さに目が向きます
(この碁盤に、勢いよく碁石を打ちつけることは出来ないでしょう)
この品は、20年前に初めて正倉院展を見たときに展示されていた物のようです
碁石を入れる容器も展示されていましたが
碁石そのものが展示されていないのは如何した事でしょうか
(今回、ガラス製品の展示が無かったことは残念なことです)

正倉院展は、出来ることなら二回見るとよいと思います
一回目で全体を概観してポイントを絞り
二回目にそのポイントを集中してみる
その際、16時30分以降の入場は割引となるので便利です


第61回正倉院展
(パノラマ写真 写真をクリックしてください、拡大します)

なお、この時期には
敷地内にある茶室八窓庵が公開されています



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Posted by 旅人 at 12:10│Comments(0)奈良県
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