2010年01月09日

鞆の浦(1) 港の景観

鞆の浦(1) 港の景観

鞆の浦を訪れるのはおおよそ10年ぶりだと思う
最近では港への架橋(バイパス道路)の問題で話題になった
(裁判の第一審では架橋の差し止め判決が出ている)
景観の良さと古い町並み、歴史によって知られているが
その景観の将来は予断を許さないようだ

-・-・-・-・-・-・-



朝7時20分、「鞆港」行きのバスに乗る
この方面のバスは3本から6本(1時間)出ているようだ





途中、芦田川に架かる草戸大橋付近で朝焼けを見る
静岡より西に位置するから、日の出は静岡よりも遅い
川に光が照り返る



(この写真のみ2000年12月撮影)







約30分で「鞆の浦」バス停に着く(バスの終点は次の「鞆港」)
暫く防波堤沿いに歩く

以前訪れたときには、防波堤の上にはサヨリが干されていた
この日は正月の休みの為か、この様な光景を見ることは出来なかった
代わりに見かけたのは釣り人の姿
風光明媚な場所で釣り糸を垂れるのは気持ちの良いことだろう






海上では、対岸の仙酔島とを行き来する渡船が見られる
海辺にも、渡船改札口にも
まだ昇ったばかりの朝日が軟らかな光を差し込む


鞆の浦(1) 港の景観
(パノラマ写真 写真をクリックしてください
表示された画像をもう一度クリックすると拡大します)



港に出る
漁船の並ぶ背後には
常夜灯と立派な雁木






「雁木」と言う名称は、地方によってまったく違った用途につけられている
雪国で言う「雁木」は降り積もった雪から通路を確保する「アーケード」のような物
瀬戸内の港では階段状に石を積み上げた岸壁を言う






整然と積み上げられた石段による造形の美しさ
常夜灯の風格
この港の景観は素晴らしい

しかし、鞆港の一部を埋め立て
さらにこの港を横切って橋をかける計画が論議を巻き起こしている

橋を架けることによりこの地区から、あるいはこの地区への交通の便がよくなるという
観光客への利便性が上がると言う
高潮への対策の為と言う

反対に、橋は通貨車両が多いから
騒音、排気ガス等の問題が起きると言う
また、地域内の交通は必ずしもよくなるとは限らないと言う
景観が破壊されるから観光に大きなダメージを与えると言う
橋や埋立地が周囲より高い為、高潮の際には排水が阻害され
かえって被害が拡大するとも指摘されている
埋立地にあるという自然の破壊も懸念されている
橋を架けるよりも、背後にトンネルを通したほうが合理的だとも言う


鞆の浦(1) 港の景観
(パノラマ写真 写真をクリックしてください
表示された画像をもう一度クリックすると拡大します)

鞆城址より鞆港を見る

静岡にも、かつて清見潟の埋め立てで失われた景観がある
(清見潟と鞆の浦は共に朝鮮通信使ゆかりの土地だ)
私はその景観を知らないから、懐かしむことすら出来ない


鞆の浦(1) 港の景観
(パノラマ写真 写真をクリックしてください
表示された画像をもう一度クリックすると拡大します)

港の一方の先端(大可島)の波止場より鞆港を見る
石積みの波止場は寛政3年(1791年)から明治にかけて造られた風格あるもの
この波止場の内側に計画では橋が架かる

失われた景観を取り戻すことは出来ない
最大の観光資源である景観を破壊して「橋は観光に寄与する」と言うのは矛盾だ
高潮対策と言う話も埋立地や橋が却って被害を拡大しかねないと言う指摘もあるうちには
この架橋計画は出来る限り考え直す余地があるように思う


http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/tomo-machidukuri/index.html
「鞆のまちづくり」(福山市ホームページ内)

http://www.sawasen.jp/tomonoura/tomonoura/sonotoki-kakyo-1.pdf
「子や孫にこんな環境を残しますか?」

http://tomo-saiban.net/
「鞆の浦の世界遺産登録を実現する生活・歴史・景観保全訴訟」




鞆の浦(1) 港の景観
(パノラマ写真 写真をクリックしてください
表示された画像をもう一度クリックすると拡大します)

来た道を少し戻り福禅寺に行く
この寺の客殿は座敷からの景観が良く
朝鮮通信使の従事官 李邦彦は「日東第一景勝(日の上る東の国で一番の景色)」と賞賛し
洪啓禧により「対潮楼」と命名された

窓の近寄って外を眺めると
後に埋め立てられて造られた眼下の道路がいくらか景観の邪魔をしているように思うが
窓を額縁に見立てて仙酔島を見れば
今でも通信使たちが眺めたであろう景色を偲ぶことが出来る
幾つかの小島が織り成す、美しい風景

寺を出て街並みへ足を向ける




にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 静岡(市)情報へ にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

同じカテゴリー(広島県)の記事画像
8月6日の広島
広島平和記念資料館
原爆の子の像
原爆ドーム
広島 -路面電車の街-
竹原
同じカテゴリー(広島県)の記事
 8月6日の広島 (2019-12-31 02:58)
 広島平和記念資料館 (2010-01-28 01:15)
 原爆の子の像 (2010-01-24 01:30)
 原爆ドーム (2010-01-22 00:34)
 広島 -路面電車の街- (2010-01-21 01:30)
 竹原 (2010-01-20 01:08)

Posted by 旅人 at 00:50│Comments(2)広島県
この記事へのコメント
ボクが鞆の浦を訪れたのはもう20年くらい昔のことになってしまいました。
ほとんど予備知識がないまま訪れたのですが、海が銀盤のごとくおだやかで、ときおりそこを行く小舟の姿が印象的でした。
近くの寺(はっきり覚えていないが地図で確認すると医王寺だと思われる。)の境内から小一時間飽きもせず海を眺めていました。
Posted by あおい君 at 2010年01月09日 16:34
あおい君さん、こんばんわ。
医王寺は行かなかったのですが、後で確認してみると大変眺望の良いところだったようです。行かなかったことを後悔しています。
内海の為でしょうか、瀬戸内海は鞆の浦でも、尾道でも、大久野島へ渡る船上でも大変静かでした。この地では船が日常の交通手段として大きな役割を果たしているようです。
大小さまざまな島が織り成す景観の妙は、瀬戸内ならでわの物のようです。
Posted by 旅人旅人 at 2010年01月09日 18:26
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
鞆の浦(1) 港の景観
    コメント(2)